2008-01-01から1年間の記事一覧
このシリーズ、狙いがどうにもよく分からないが、言葉の使い方はエンタテインメントとして相変わらず高い水準で良くできていると思う。 駄洒落であったり語呂合わせであったりアナグラムであったりと、そういうものが好きで好きでしょうがないのだろう。 清…
小学4年生の僕は、終業式の日に欠席したS君の家へ、プリントを届けに行った。 そこでS君の首を吊った姿を発見してしまう。 1週間後、S君は姿を変えて生まれ変わり、僕の前に現れる。 そこでS君は言う「僕は殺されたんだ」 僕は妹のミカと一緒に事件を追…
彼女に危険が及ぼうとする時、ガーディアンは発動する。 事故に対してはバリアーとして機能するが、 悪意を持った相手には、相応の反撃を行う。 ガーディアンが存在する時、果たして推理小説はどんな変身を遂げるのだろうか。 超常現象を組み込んだミステリ…
久しぶりにバカミスを読んだ。 それでも、ネット上の無数の日記から犯人の犯行を浮かび上がらせる手法は綺麗。 何よりも作中作である『紙の碑に泪を』のバカバカしさが群を抜いている。 そして、本編自体もそのバカバカしさに引きずられていく。 適当に斜め…
現役の法律家である著者の書く中篇犯罪小説が2編。 いや、そもそも1編目の「終の信託」について言えば犯罪小説と定義できるのかもわからない。 重症の喘息に苦しむ患者に安楽死処置を施した女医が殺人罪に問われる。 患者と医師の間にある信頼を誰がどう量…
最近本屋に行くと必ず平積みされているので気にはなっていたが、これにはやられた。 ラノベには欠かせない美少女キャラの存在感がとても強い。 きっと、主人公との力関係が絶妙なのかなと思う。 庇護されるだけの弱い存在でもなく、 周りを引っ掻き回すだけ…
このミス大賞を受賞して、映画にもドラマにもなったヒット作「チーム・バチスタの栄光」の続編。田口の不定愁訴外来に今回は子供たちがやってくる。 難病を抱えた子供たちと田口は何を話すのか。子供たちのうちの1人、瑞人の父親が殺される事件が発生。伝説…
心さびしい人たちをひきつけるファミリーレストラン。 そこにいる安楽椅子探偵のハルお婆ちゃん。 恋愛絡みの複数のミステリー。 登場人物たちの恋も話とともに進んでゆく。 不思議な秘密を持ったファミレスで起こるミステリーの数々。 日本推理作家協会賞短…
人類が宇宙に進出するようになり、 植民という形で他の惑星に移り住んでいく。司政官は、植民する地球人と、その惑星の先住者とが共存できるようにその惑星の司政を行う。宇宙進出が始まり司政官という制度ができた当初、司政官とはその惑星の絶対権力者であ…
とりあえず、 暖かい気持ちになりたい人、 子供が好きな人、 笑いたい人、 小さい子供の親である人、 あずまんが大王が面白かったという人、 どうぞ読んでください。よつばと! 8 (電撃コミックス)作者: あずまきよひこ出版社/メーカー: アスキー・メディアワ…
熱帯魚ミステリ第2弾。 ミステリ書きにとって、スーパー高校生というのは魅力のあるキャラクターなのだろうか。 逆にフィクションであることを迷い無く受け入れられる前提作りとしてやりやすいのかもしれない。 こういうスーパー高校生もの、僕は結構好きで…
数十年前に起きた大量毒殺事件。 数十年の時を経て関係者の証言を追っていく。 こう書くと、昔の事件の衝撃の真実を暴く、といった作りの話に聞こえるが、 衝撃の真実なんて実は無い。 そもそもたった一つの真実を暴くのが推理小説であるならば、 「ユージニ…
今野敏の書く警察小説は多彩だ。 その中でも僕の心に一番響くのは「樋口顕」シリーズだ。 樋口はとかく周囲に気を遣う。 下手したら情けないサラリーマン小説の主人公になりかねないくらいだが、 そんなことは無く、その真面目さを周囲が放っておかない。 警…
今回も変わらず、デントン市内では事件が頻発。 ひたすら元気で下品なフロスト警部が続発する難事件に立ち向かう。 このシリーズはとにかくそのキャラクターの楽しさ、 そして事件の多さとその関連の仕方、伏線の回収の仕方が見事! そしてシリーズ作品が出…
読みやすくて良いんじゃない。 テンポ早く次から次へと死体が出てくる。 メイントリックそのものは分かりやすいが、 読みやすさを重視しているだろう作りだけに、分かりやすいのもマイナス点ではない。復讐者の棺 (講談社ノベルス)作者: 石崎幸二出版社/メー…
ミステリーの書き方には「倒叙」という手法がある。 「倒叙」とは、話の冒頭において犯人の犯行の様子を描写するもの。 そして犯人は隠ぺい工作を試みる。 そこまでを描いておいてから、すわ探偵役が現れ、犯行のあらを探し、 犯人を追い詰めていく。 「古畑任三…
世間には上手くいっている家庭とそうでない家庭というものがある。 とは簡単に言うものの、 では、その「上手くいっている」という基準は何なのだろう? そんなことを考えないといけないような時点で、その家庭は既に「上手くいっていない」のではないか。 …
本を読むとは、感情移入することと想像することだと思う。 その2つの要素を抑えているからこそ、日本人の書くホラーは怖いのだろう。 例えば、ハリウッド映画でホラーと言えば、ジェイソンのような、 ハラハラドキドキを盛り上げて、ワッ!と驚かすことで怖…
娘を陵辱されて殺された父親が復讐する話。 ちょっと、描写が暗すぎる。 読んでいるだけで辛く悲しくなってしまう。 東野圭吾は感情描写が巧みというか、ツボを心得ている感じがする。 しかし、復讐という行為には甘美な響きがある。 許される許されないと言…
黒い帽子に黒マントの三人組の泥棒。 いつもは馬車を襲って金銀宝石を奪うのだが、今日は金目のものが無く、子供をさらうことに。 今まで貯め込んだお宝を見た子供は「これ、どうするの?」 そこでようやく使いみちを考える三人組。 さて、彼らが考えたこと…
表題作「クラリネット症候群」と、中編「マリオネット症候群」の2本を収録した1冊。 「マリオネット症候群」では高校生の里美が朝起きると、意識はあるのに体が勝手に動いてしまう、誰か違う人に動かされているように。そのうちにその行動から動かしている…
「ドラゴンキラー」シリーズ最終巻。 最終巻まで読んで、このシリーズの物足りなさに気付いた。 戦闘シーンが薄いのだ。 僕は、速読とまではいかないけれど、基本的に本は斜め読みをする。 要するに、印象深いシーンしか残らないように読む。 このシリーズ中で…
タイトルだけは昔から聞いていたけれど、どんな話かはサッパリ知らなかった。 戦争のため、「大きな町」から、祖母の住む「小さな町」へと疎開してきた双子の少年。 彼らがどのように生き抜いていったかを彼らの日記という形で描いていく。 感情表現を排除すると…
ブログをはじめて、読んだ本について書いていくうちに分かったことがある。 本を評価する際に、かならず作者に対する評価も含まれているということだ。 逆に言えば、作家のことを知らないと評価がしづらい。 「ぼくは勉強ができない」 この本は紛れもない名…
「関係者やら容疑者やらが、ひげの男だらけだったら面白いんじゃない?」っていうワンアイデアで出来たんじゃないかというような設定だが、中身はしっかりした本格ミステリである。タイトルに騙されてはいけません。ひげのある男たち (創元推理文庫)作者: 結城…
「図書館戦争」シリーズが大ベストセラーな有川浩であるが、 残念ながら「図書館戦争」はまだ読んでいない。 この、「空の中」は、高度2万メートルに達した航空機が相次いで事故を起こす。 その空域にある秘密をおって、自衛官と航空会社の職員が挑む。 と…
クリエイターであれ、スポーツ選手であれ、 アーティストと評される人の心の中には大きく興味を持っている。 中村俊輔でいえば、 例えばFKを決めるときに、 例えばセンタリングを上げるときに、 例えばシュートをうつときに、 何を考えてどこを狙ってどの…
この木野塚氏シリーズ。 もうとにかく、こっぱずかしいとしか言いようが無い。 木野塚氏は常に妄想している。 いつだって頭の中にあるのは事件をズバリと解決する姿と、そんな自分を慕うグラマーな美女。 書き手も読み手も、話の中の登場人物でさえ木野塚氏…
モチーフはオウム。 この作品のように日本がパニックに陥るということはあるのだろうか。 テロの恐怖はある。 僕だって無差別テロに巻き込まれて死にたくなんか無い。 じゃあ、首都圏から離れればよいのか、っていうことになるとも思わない。 最近震度5以上…
「人類と植物の共生」とは誰もが描きたがるテーマなのかもしれない。 環境破壊という言葉を普通に使うようになったのは、 もう二、三十年も前のことだろうか。 そして、この「グリーン・レクイエム」が発表されたのが1980年。 新井素子の作品を読んだの…