2010-01-01から1年間の記事一覧

裁判員法廷

ちょうど、耳かき店員事件の判決があったばかりで再び世の注目を集めている裁判員制度。 判例主義である日本の裁判の判決において、今回の判決が今後の裁判員裁判へどれだけの影響を与えるのかがこれからの問題だろう。 ということで、森江春策シリーズにし…

タイム・マシン

ウエルズの伝説的なSFの名作。 表題作以外にも想像力に溢れた短編が詰まっている。タイム・マシン 他九篇 (岩波文庫)作者: H.G.ウエルズ,橋本槇矩出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/05/16メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 21回この商品を含むブログ (…

宇宙のみなしご

子供には子供なりの悩みや考えがあるということはとても当たり前のことである。けれども子供と接する時間が少ないと、そんな当たり前のことすら忘れてしまうのである。宇宙のみなしご (角川文庫)作者: 森絵都出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッ…

密室キングダム

文庫のくせして1200ページとか…。 京極以来の凶器になる本である。 タイトル通り、密室事件のオンパレードで、シリーズ探偵南美希風が活躍する。 あまりにも頻出する密室事件に気をとられて、メイントリックに全く気付かずに最後でアッと言わされました…

インシテミル

映画化もされた話題作。 閉鎖された空間の中で報酬を目当てに殺し合いをする男女。 そして行われる犯人当てゲーム。 だいぶ話題にもなったので粗探しのように取られるかもしれないけれど、 読み終えて腑に落ちなかった点が一つだけある。ネタばれになりそう…

月光スイッチ

結婚している男性と不倫をしていて、彼の奥さんが出産で里帰りする。 その間だけ一緒に棲むことにした彼女は、同じマンションの人たちや、周りの様々な人と出会ってゆく。月光スイッチ (角川文庫)作者: 橋本紡出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリ…

吸血鬼ドラキュラ

吸血鬼ものの古典。 吸血鬼退治に挑む各人の手記を入れ換わり配置することで3人称小説のような全員の内面描写を成功させている。吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)作者: ブラムストーカー,Bram Stoker,平井呈一出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1971/04/1…

朝日のようにさわやかに

どこがさわやかなんだか分らない短編集。 淡々とした恐怖が流れている。朝日のようにさわやかに (新潮文庫)作者: 恩田陸出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/05/28メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (31件) を見る

クジラの彼

有川浩の短編集。 「自衛隊ラブコメ」シリーズらしい。 著者があとがきでいう通りベタ甘なんだけれど、 有川浩の恋愛小説の基本は、どうやら「気付き」のようです。相手の何気ない仕草や行為に気付き魅かれる。 お互いに気付き合える環境がよりお互いを結び…

家日和

これもミクシイでレビュー書いたっけ。 幸せはどんな形でやってくるか分からないし、家族の絆なんていつ弱まったり強まったりするのかさっぱり分からないものだと思う。家日和 (集英社文庫)作者: 奥田英朗出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/05/20メディア…

狩人は都を駆ける

我孫子武丸は大好きな作家なんだけど、寡作すぎる。 もっと書いてほしいなあ。 ちなみに、「0の殺人」と「探偵映画」がお気に入りです。狩人は都を駆ける (文春文庫)作者: 我孫子武丸出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/06/10メディア: 文庫 クリック: 6…

6時間後に君は死ぬ

「13階段」で江戸川乱歩賞を受賞した高野和明。 なんていうか、不思議な雰囲気の作品の多い作家さんだと思う。 本格ミステリじゃあないし、ホラーやサスペンスの要素も強いけれどそれだけでもない。6時間後に君は死ぬ (講談社文庫)作者: 高野和明出版社/メー…

自分だけの一冊

作家の北村薫が「アンソロジーの楽しみ」と題してカルチャーセンターで行った講義の再録。 北村先生の講義、受けてみたいものです。自分だけの一冊―北村薫のアンソロジー教室 (新潮新書)作者: 北村薫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/01メディア: 新書購…

ジーキル博士とハイド氏

誰しもご存じの2重人格を扱った古典の名作。 初めて通して読んだけれども思ったよりも読みやすく感心。ジーキル博士とハイド氏 (岩波文庫)作者: R.L.スティーヴンスン,R.L. Stevenson,Robert Louis Stevenson,海保眞夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1994…

告白

映画化もされた話題作。 もともとは第1章に当たる部分が短編の新人賞を受賞ということで、1章できっちりと結末のあるミステリに仕上がっている。 いや、むしろその先が必要だったのかなー、って思わせちゃうほど。 映画の方が観てみたいな。告白 (双葉文庫) …

蒼林堂古書店へようこそ

以前ミクシイのレビューにも書いた記憶があるから割愛。 良い作品でした。蒼林堂古書店へようこそ (徳間文庫)作者: 乾くるみ出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2010/05/07メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 58回この商品を含むブログ (48件) を見る

ミハスの落日

貫井徳郎的世界一周ミステリ短編集。 この人は本当に上手なミステリを書きますなあ。ミハスの落日 (新潮文庫)作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/03/29メディア: 文庫 クリック: 10回この商品を含むブログ (14件) を見る

攪乱者

政府転覆を目指すテロ組織の一員。 彼らに与えられる任務は、「スーパーの果物売り場にレモンを置いてくる」など、一見奇妙なものばかり。 「檸檬」にはじまり「舞姫」に終わる。 古典の名作から各話の題をとった連作短編集。 最後の3話のジェットコースタ…

博士の本棚

作家さんの書く読書エッセイで今まで面白くなかった物に会ったことが無い。博士の本棚 (新潮文庫)作者: 小川洋子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/12/24メディア: 文庫 クリック: 25回この商品を含むブログ (27件) を見る

書物法廷

どんな本でも入手する「書物狩人」シリーズ第3弾。 1、2弾とばして読んじゃった…。書物法廷 (講談社ノベルス)作者: 赤城毅出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/04/07メディア: 新書 クリック: 8回この商品を含むブログ (8件) を見る

ふたつめの月

近藤史恵はとても丁寧に人の嫌な部分を描く。 人の行為や気持ちは常に二面性を持っていて、利己的であるように見えて利他的でもあるし、その逆もまたしかり。 偽悪的であり、偽善的でもある。 それを分っている年長者と、まだ理解できない若者の組み合わせが…

私の男

言わずと知れた直木賞受賞作。 冒頭のぬすんだ傘のくだりと腐野という名字だけで、男がいかに社会不適応者か表されている。 「ぬすんだ傘」。 今までこれほどに端的に人のダメさ加減を表す言葉があっただろうか。私の男 (文春文庫)作者: 桜庭一樹出版社/メー…

今宵、バーで謎解きを

お決まりのパターンのあるミステリというのは難しい。 そりゃ、読者が驚いてくれないに決まってる。 驚きの無いミステリでも楽しめるようにするには大変な努力が必要だと思う。 ということをしみじみ感じさせてくれる作品でした。今宵、バーで謎解きを (カッ…

ソロモンの犬

うあ、これは3ヶ月くらい前に読んだような気がするけど、もうほとんど内容覚えて無いや。たしか、犬はどうして走ったか?みたいな謎解きだったような気がするけど…。 道尾秀介の作品の登場人物は、大抵過去に傷を負ってたりしてそれで性格にゆがみが出ちゃっ…

神狩り

今さらながら、文庫で再版されたので読んでみました。 神と戦うというSFとしては究極の設定をこれだけスマートに描けるものかと感心した。神狩り (ハヤカワ文庫JA)作者: 山田正紀出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/04/05メディア: 文庫購入: 4人 クリッ…

GOSICK4

いよいよアニメ化が決まったらしいです。 正直、脳内イメージとしてはヴィクトリカは真紅とかぶりまくってるのですが。初めてシリーズ1作目を読んだ時は少年(少女)探偵小説だと思ってたけど、 アニメ化するとしたらどう考えてもラブコメになるような気がす…

情報と生命

前衛的というか、先鋭的というか。 最先端の科学から近未来のテクノロジーの想像まで。 何よりも進歩著しいこの分野の本で20年近くも前に書かれているのに、 今読んでも目新しさを失っていないところが素敵。情報と生命―脳・コンピュータ・宇宙 (ワードマ…

ひとり暮らし

私の父もいわゆる独居老人になっていますが、 谷川俊太郎の凄いところは、人生を愛していて過去も未来も肯定できるうえになお死を恐れないところか。ひとり暮らし (新潮文庫)作者: 谷川俊太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/01/28メディア: 文庫購入: …

とらんぷ譚2

幻想小説なんだけれども、やっぱりどこか論理的で筋が通っているように感じられるのはさすが中井英夫ということでしょうか。新装版 とらんぷ譚 (2) 悪夢の骨牌 (講談社文庫)作者: 中井英夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/02/13メディア: 文庫購入: 1人…

泥棒が1ダース

アルセーヌ・ルパンを代表として、怪盗という職業は小説の世界では常に魅力的に描かれてきた。 現代小説ではおそらく、怪盗ニックとジョン・ドートマンダーがこの世界の最高峰ではないだろうか。現代短篇の名手たち3 泥棒が1ダース (ハヤカワ・ミステリ文庫)…