2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

命の終わりを決めるとき

現役の法律家である著者の書く中篇犯罪小説が2編。 いや、そもそも1編目の「終の信託」について言えば犯罪小説と定義できるのかもわからない。 重症の喘息に苦しむ患者に安楽死処置を施した女医が殺人罪に問われる。 患者と医師の間にある信頼を誰がどう量…

狼と香辛料

最近本屋に行くと必ず平積みされているので気にはなっていたが、これにはやられた。 ラノベには欠かせない美少女キャラの存在感がとても強い。 きっと、主人公との力関係が絶妙なのかなと思う。 庇護されるだけの弱い存在でもなく、 周りを引っ掻き回すだけ…

ナイチンゲールの沈黙

このミス大賞を受賞して、映画にもドラマにもなったヒット作「チーム・バチスタの栄光」の続編。田口の不定愁訴外来に今回は子供たちがやってくる。 難病を抱えた子供たちと田口は何を話すのか。子供たちのうちの1人、瑞人の父親が殺される事件が発生。伝説…

ハートブレイク・レストラン

心さびしい人たちをひきつけるファミリーレストラン。 そこにいる安楽椅子探偵のハルお婆ちゃん。 恋愛絡みの複数のミステリー。 登場人物たちの恋も話とともに進んでゆく。 不思議な秘密を持ったファミレスで起こるミステリーの数々。 日本推理作家協会賞短…

消滅の光輪

人類が宇宙に進出するようになり、 植民という形で他の惑星に移り住んでいく。司政官は、植民する地球人と、その惑星の先住者とが共存できるようにその惑星の司政を行う。宇宙進出が始まり司政官という制度ができた当初、司政官とはその惑星の絶対権力者であ…

よつばと!8

とりあえず、 暖かい気持ちになりたい人、 子供が好きな人、 笑いたい人、 小さい子供の親である人、 あずまんが大王が面白かったという人、 どうぞ読んでください。よつばと! 8 (電撃コミックス)作者: あずまきよひこ出版社/メーカー: アスキー・メディアワ…

まごころを、君に

熱帯魚ミステリ第2弾。 ミステリ書きにとって、スーパー高校生というのは魅力のあるキャラクターなのだろうか。 逆にフィクションであることを迷い無く受け入れられる前提作りとしてやりやすいのかもしれない。 こういうスーパー高校生もの、僕は結構好きで…

ユージニア

数十年前に起きた大量毒殺事件。 数十年の時を経て関係者の証言を追っていく。 こう書くと、昔の事件の衝撃の真実を暴く、といった作りの話に聞こえるが、 衝撃の真実なんて実は無い。 そもそもたった一つの真実を暴くのが推理小説であるならば、 「ユージニ…

ビート

今野敏の書く警察小説は多彩だ。 その中でも僕の心に一番響くのは「樋口顕」シリーズだ。 樋口はとかく周囲に気を遣う。 下手したら情けないサラリーマン小説の主人公になりかねないくらいだが、 そんなことは無く、その真面目さを周囲が放っておかない。 警…

フロスト気質

今回も変わらず、デントン市内では事件が頻発。 ひたすら元気で下品なフロスト警部が続発する難事件に立ち向かう。 このシリーズはとにかくそのキャラクターの楽しさ、 そして事件の多さとその関連の仕方、伏線の回収の仕方が見事! そしてシリーズ作品が出…

復讐者の棺

読みやすくて良いんじゃない。 テンポ早く次から次へと死体が出てくる。 メイントリックそのものは分かりやすいが、 読みやすさを重視しているだろう作りだけに、分かりやすいのもマイナス点ではない。復讐者の棺 (講談社ノベルス)作者: 石崎幸二出版社/メー…

容疑者Xの献身

ミステリーの書き方には「倒叙」という手法がある。 「倒叙」とは、話の冒頭において犯人の犯行の様子を描写するもの。 そして犯人は隠ぺい工作を試みる。 そこまでを描いておいてから、すわ探偵役が現れ、犯行のあらを探し、 犯人を追い詰めていく。 「古畑任三…