2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

クラリネット症候群

表題作「クラリネット症候群」と、中編「マリオネット症候群」の2本を収録した1冊。 「マリオネット症候群」では高校生の里美が朝起きると、意識はあるのに体が勝手に動いてしまう、誰か違う人に動かされているように。そのうちにその行動から動かしている…

ドラゴンキラー売ります

「ドラゴンキラー」シリーズ最終巻。 最終巻まで読んで、このシリーズの物足りなさに気付いた。 戦闘シーンが薄いのだ。 僕は、速読とまではいかないけれど、基本的に本は斜め読みをする。 要するに、印象深いシーンしか残らないように読む。 このシリーズ中で…

悪童日記

タイトルだけは昔から聞いていたけれど、どんな話かはサッパリ知らなかった。 戦争のため、「大きな町」から、祖母の住む「小さな町」へと疎開してきた双子の少年。 彼らがどのように生き抜いていったかを彼らの日記という形で描いていく。 感情表現を排除すると…

ぼくは勉強ができない

ブログをはじめて、読んだ本について書いていくうちに分かったことがある。 本を評価する際に、かならず作者に対する評価も含まれているということだ。 逆に言えば、作家のことを知らないと評価がしづらい。 「ぼくは勉強ができない」 この本は紛れもない名…

ひげのある男たち

「関係者やら容疑者やらが、ひげの男だらけだったら面白いんじゃない?」っていうワンアイデアで出来たんじゃないかというような設定だが、中身はしっかりした本格ミステリである。タイトルに騙されてはいけません。ひげのある男たち (創元推理文庫)作者: 結城…

空の中

「図書館戦争」シリーズが大ベストセラーな有川浩であるが、 残念ながら「図書館戦争」はまだ読んでいない。 この、「空の中」は、高度2万メートルに達した航空機が相次いで事故を起こす。 その空域にある秘密をおって、自衛官と航空会社の職員が挑む。 と…

察知力

クリエイターであれ、スポーツ選手であれ、 アーティストと評される人の心の中には大きく興味を持っている。 中村俊輔でいえば、 例えばFKを決めるときに、 例えばセンタリングを上げるときに、 例えばシュートをうつときに、 何を考えてどこを狙ってどの…

木野塚佐平の挑戦だ

この木野塚氏シリーズ。 もうとにかく、こっぱずかしいとしか言いようが無い。 木野塚氏は常に妄想している。 いつだって頭の中にあるのは事件をズバリと解決する姿と、そんな自分を慕うグラマーな美女。 書き手も読み手も、話の中の登場人物でさえ木野塚氏…

交渉人

モチーフはオウム。 この作品のように日本がパニックに陥るということはあるのだろうか。 テロの恐怖はある。 僕だって無差別テロに巻き込まれて死にたくなんか無い。 じゃあ、首都圏から離れればよいのか、っていうことになるとも思わない。 最近震度5以上…

グリーン・レクイエム/緑幻想

「人類と植物の共生」とは誰もが描きたがるテーマなのかもしれない。 環境破壊という言葉を普通に使うようになったのは、 もう二、三十年も前のことだろうか。 そして、この「グリーン・レクイエム」が発表されたのが1980年。 新井素子の作品を読んだの…

妖鳥(ハルピュイア)

ミステリ好きを名乗っている僕だけれども、 大物作家の本でも読んだことが無いものが多い。 内田康夫や吉村達也など。 多作の作家の本って、何から最初に手をつけてよいのか分からないのだ。 山田正紀は多作とはいえないが、やっぱり大物過ぎて何となく手が…

仕掛け花火

ショートショートの第一人者、星新一が「後継者」と認めた江坂遊の作品集。 星新一のような分かりやすさではなく、 どちらかといえば筒井康隆に近いかもしれないが、 たぶん、一番近いのは江戸川乱歩だと思う。 乱歩が現代でショートショートを書けば、きっ…

木曜日だった男

チェスタトンらしい仰々しい修辞であったり、大演説をぶつ登場人物たちであったり、 「らしさ」がふんだんに散りばめられているが、 内容はといえば、今回光文社版での訳を手がけた南條竹則のあとがきにある、「ピクニック譚」という言葉が、他のどんな表現…

八月の舟

樋口有介の青春小説。 樋口有介の書く高校生は、すさまじくクールだ。 ハードボイルド小説の主人公のようなクサイ言い回しを好み、 近寄ってくる女の子にはそっけない態度をとり続ける。 けれど熱さを心の中に持っている、これぞ青春小説だ!っていうくらい…

カラフル

バイトの子から勧められて読んでみた。 僕の読書は8割がミステリであって、 もしかしたらその殺伐とした雰囲気に慣れすぎていたのかもしれない。 児童文学でデビューした森絵都だけあって、 シビアな内容を書きながらも暗さを感じさせない。 こういうさわや…

まだ殺してやらない

蒼井上鷹は何を書きたいのだろうか。 「ホームズのいない町」とテーマがおんなじに見える。 けれど、むこうはユーモアミステリ。 こっちはシリアスで陰惨なサスペンスだ。 こんな雰囲気の違う作品に同じオチを持ってくる感性が理解できない。 しかし、別に本…

『恐怖の報酬』日記

恩田陸の紀行エッセイ。 大の飛行機嫌いで大のお酒好き。 そんな恩田陸がイギリス、アイルランドを訪れる。 空港を出発する前はひたすら飛行機に対する不安をぶちまけ、 到着してからはひたすら酒を飲む。 番外編として、国内のビール工場見学編も収録。 と…